「飲み過ぎた」を英語にすると
意味の通る英文になるようにカッコ内の単語を並べ替えてください。
He ( too / drank / beer / much ) last night.
↓
↓
↓
↓
↓
答:He drank too much beer last night.
意外と He drank beer too much. と並べ替えた人も多いのでは?
今回の質問は、
He drank too much beer. とか He drank too much. とは言えるのに、He drank beer too much. と言えないのはなぜ?
much は「程度」の副詞だから、too much は「度を超えた程度」を表します。
例えば、
He played that game too much.「彼はあのゲームをやり過ぎた」
や
He loves me too much.「彼は私を愛し過ぎ」
のような文なら「度を超えた程度」を表すので、副詞の too much が成立します。
しかし、drink とか eat のような動詞の後に too much がくると「飲み過ぎ」「食べ過ぎ」という意味になり、この飲み過ぎ、食べ過ぎというのは度を超えた「程度」ではなく、度を超えた「量」を表します。
したがって、前述のビールを飲み過ぎたという英文は、厳密には「程度」ではなく、ビールの「量」が度を超えたことを表す文となり、too much は beer を修飾する形容詞の働きをします。
だから、much が beer を修飾して He drank too much beer last night. となるのです。
では、どうして He drank too much. も成立するの?
こんな疑問が湧いてきますよね。
形だけ見ると、この too much は副詞のように見えますよね。
確かにこの too much は形式上は副詞ですが、働きは形容詞のような働きをしているのです。
「???」
これは英文法のカラクリで、ときどき、こういう現象が起きることがあります。
例えば、よく似たカラクリに前置詞と副詞があります。
Get on the bus! → on は前置詞
Get on! → on は副詞
Get on の on は the bus が省略されたので、結果的に文法的には「副詞」と言われます。
会話で乗り物が話し手と聞き手の間で明白にわかっていれば、単に Get on と言えますよね。その乗り物が明白なため省略されているという構造です。したがって、前置詞だけど、名詞の省略の結果、副詞となるのです。
これと同じ発想をすると、例えば、昨日のパーティーはビールがたくさんあったという話の流れの中であれば、アルコールはビールだと話し手と聞き手の間で特定できます。このような流れの中で、He drank too much. といえば、too much beer であることは明白だから、ビールを省略しているのです。
PEGに次のような説明があります。
「too much は後にくる名詞が明白な場合は名詞を省略することができる」
つまり、He drank too much. は He drank too much beer の beer が省略された文と考えられます。
He drank too much.「彼は(ビールを)飲み過ぎ」の意味は「度を超えた量を飲んだ」と、「量」に意識があります。
だから、この too much は副詞のようで、実は、名詞が省略された形容詞なのです。
drink とか eat のような動詞と too much が重なると必然的に飲み物や食べ物の「量」を表すので、このようなカラクリが発生するのです。
英語のカラクリを知ると、他のカラクリもわかるようになってきますよ!