どうして売買に前置詞 for を使うの?

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どうして売買に前置詞 for を使うの?

カテゴリー:英文法のお話

適切な前置詞はどっち ?

I sold my bike ( for / to ) $300. 

答:for

「自転車を300ドルで売った」という意味の文ですが、どうして売り買いに前置詞 for が使われるのでしょう? 

もちろん丸暗記も悪くありませんが、実はきちんとした理由があるのです。

for の基本イメージからの拡張イメージで捉えると、その理由がわかります。

for の基本イメージは「方向」

My son left for school. 

この文は出発した時点で息子が学校へ向かっていたことを意味します。つまり、学校の「方向」に向かって家を出たという意味です。

これが for の基本イメージです。

この基本イメージから for はさまざまなイメージに拡張していきます。

まず「方向」から「目的」にイメージが拡張します。

He studied enough for the test.

彼の勉強はテストの方を向いている、つまり、方向の for ですね。

少し角度を変えて見ると、方向は目的とも取れます。彼の勉強の目的はテスト。こんなイメージです。

このように for は「方向」から「目的」にイメージが拡張します。

次の英文も目的の for を用いたものです。

He saved enough money for the bike.

(彼はその自転車を購入するために十分お金を貯めた)

貯めたお金の目的が「自転車」です。

では、この自転車の値段が300ドルなら、貯めたお金は最低いくらでしょうか?

その自転車を購入するために貯めたお金は最低300ドル必要ですよね。

He saved $300 for the bike ($300).

また少し角度を変えてみてみましょう。

よく見ると、貯めたお金($300)と自転車($300)は同じ価値がありますね。

つまり、 for は「目的」から「等価/相当」というイメージに拡張します。

さらに、同じ価値があるものであれば「交換」もできますよね。

だから「等価/相当」から for は「交換」というイメージにも拡張するのです。

売買はある意味「交換」と捉えることもできますよね。

I sold my bike for $300.

自転車は300ドルの価値。私の自転車と300ドルは等価なのです。同じ価値があるから「交換」できるのです。

これが売買の for のカラクリです。

基本イメージから拡張イメージを理解することでさまざまな for を理解することができるようになるのです。

和訳で for を「~のために」と覚えずに基本イメージをおさえ、そこからの拡張イメージで捉える練習をする方が前置詞をマスターする近道になると思いますよ。

丸暗記も悪くないけど、理屈がわかると英文法はおもしろい。

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